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送配電工学

配電方式

 変電所から各家庭や工場など需要家まで電力を配ることを配電と呼びます。いわゆる電柱と電線のことです。こういった配電にはいくつかの方式が存在します。まず、何本の電線を用いるか、単相か三相などといった方式の違いを電気方式と呼び、どのように線路を引いていくのかといった方式の違いを系統方式と呼びます。

 

高圧配電系統

 6.6kV配電線では一般に電気方式として三相3線式が用いられます。すなわち、U相、V相、W相の三相で位相は120°ずつずれています。

 また、系統方式については、負荷の分布に応じて幹線から分岐線を引き出していく樹枝状式と、線路が環状になっている環状式と2つに分けられます。

高圧方式.png

樹枝状式では①建設費が安い、②需要家が増えた際にも追加で線路を引きやすいという利点がありますが、事故時に切断するとそこから先は事故が終息するまで停電が継続することになり信頼性は低い、という欠点があります。一方で環状式では一般に変電所の反対側に常時開放の開閉器が設置されています。事故時にはこの開閉器を投入し、反対側から送電することで停電範囲を最低限に抑えることができます。しかし、保護方式が複雑になるとともに建設費もかさみます。

ループ方式.png

低圧配電系統

 一方で、低圧配電系統では様々な電気方式が存在します。オーソドックスなところでは次の様です。

・単相2線式

・単相3線式

・三相3線式

・三相4線式

​・三相5線式

単相2線式

 ​単相2線式は最も単純な方式です。かつてはこの方式も採用されていましたが、現在では見ることはできません。

単相2線式.png

単相3線式

 ​単相3線式は変圧器の巻線の中間から一本線を引き出します。この線は接地しているため、残りの2本の対地線圧は+100 Vとー100 Vとなります。したがって、100 Vと200 Vの両方の負荷が接続できることになります。しかし、負荷が不平衡な場合には、負荷電圧が不平衡となる、中性線が断線した場合にはさらに大きな負荷電圧の不平衡が生じる、中性線と電圧線が短絡すると残りの一本の負荷電圧が異常上昇するなどの欠点があります。これを避けるために末端にバランサと呼ばれる装置を挿入することでこの負荷の不平衡を低減する措置が施されます。

単相3線式.png

単相2線式と単相3線式の比較

 ​単相2線式は1つの電圧、単相3線式は2つの電圧を引き出せる、という違いは存在しますがそれ以外にも様々な違いがあります。

​1. 電力損失​

電線1条あたりの抵抗をRとする。また、I2=2I3となれば負荷で消費する電力が同じ値となる。この条件で単相2線式の電力損失P2および単相3線式の電力損失P3それぞれについて考えると下の様である。

したがって、

となる。このことから負荷電力が等しい場合、単相3線式では単相2線式の際の1/4の電力損失で済むということが分かります。

2. 電圧降下

各方式における電圧降下を考えると、オームの法則より次式が得られます。

(なぜ、単相3線式では3倍しないのかというと、まず一つの回路は中性線ともう一本の電圧線で成り立っており残りの一本は関与していないこと、そして平衡負荷であれば中性線に電流は流れないため1本分の電圧降下を考えればよいことになります)

したがって、これらの比をとると

​となります。したがって、電圧降下も単相3線式だと1/4で済むということが分かります。

三相3線式

 三相3線式は一般に動力用に用いられます。単純に200 Vの三相交流が供給されるため、電動機の駆動などに適しています。

三相3線式.png

三相4線式 (灯動共用4線式)

 単純に表現すれば、単相3線式と三相3線式を組み合わせた方式です。灯動共有の名の通り、電灯用の単相100Vや200Vと共に動力用の三相200Vを供給することができます。

三相4線式.png

三相5線式

 単純に単相2線式と三相3線式が並列にひかれているものです。近年は三相4線式に置き換わりつつあります。

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