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原子力発電
Xe毒とキセノンオーバーライド
原子炉が運転を続けるとキセノン135が生じます。このキセノンは中性子を吸収して他の物質へと変化する性質を持っています。通常運転中はキセノンの生成量と消失量が平衡になっており、その濃度はほぼ一定となっています。ここで、原子炉の出力を低下させてみましょう。すると、制御棒の挿入により中性子の量が減少するため、キセノンの消費量が一時的に減少します。すると、キセノンの濃度が増加していき、原子炉の出力が予定していたよりも大きく低下するといった挙動が起こりえます。逆に原子炉の出力を上げた際にはキセノンの量が減少し出力は正の後押しを受けます。このようにキセノンによって反応度が影響を受ける現象をキセノンオーバーライドと呼びます。ただし、これらの影響は瞬時に起こるものではなく、比較的長時間かけて変動します(例えば原子炉停止後にキセノン濃度が 最大となるのは12時間後)。したがって、原子炉の危険な点の一つとしてキセノンオーバーライドが挙げられることがありますが、キセノンオーバーライドはその存在を知ってさえいれば比較的容易に制御することができると考えられています。
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