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​原子力発電

原子力発電の仕組み

 現在、日本では様々な発電方法が利用されています。原子力発電は20世紀に開発され、クリーンなエネルギーとして、そのシェアを広げてきました。高度経済成長期の電力需要の増加も相まって、それまで火力発電が主であった中で原子力発電が徐々に増加していき、一時期は全体の3割近い値を占めるようにもなりました。しかし、近年になって原子力発電の危険性が重視されるようになり、原子力発電の割合は0%となったものの、2015年より順次再稼働をし、2021年現在では全電力の6.2%が原子力発電により賄われています(エネルギー白書2021より)。

発電の仕組み

 現在、様々な発電方法が発明されているのは先に述べたとおりですが、実はどの発電方式も根本的な仕組みは同じです。すなわち、何らかのエネルギーにより発電機を回し交流を発生させます。発電機の構造はモーターと似たようなものです。端子に電圧をかけると回転運動が起こりますが、逆に軸入力を与えると端子間に起電力が生じ発電機として機能します。

 数多くある発電方式の違いはこの発電機をどのように回すかという点にあります。例えば水力発電であれば水を流すことで水車を回し、その回転を発電機へと伝えます。また、火力発電は燃料をボイラーで燃やし、その熱を利用して水を蒸気へと変えタービンを回します。原子力発電はこの火力発電とよく似ています。

核分裂と原子力

 まず、原子の構造についてみていきます。この世のすべての物質を形作っている原子は、中性子と陽子からなる原子核、そのまわりを待っている電子とから成っています。原子力工学において燃料としてよく用いられるのはウラン235です。ウランというのは元素の名前で、陽子の数により決まります。陽子が1個であれば水素、6個であれば炭素です。陽子は正の電荷をもっており、一般に電気中性を保つために、負の電荷をもつ電子も陽子と同数存在します。235は質量数と呼び、陽子と中性子の数の和です。したがって、ウラン235とは陽子及び電子がそれぞれ92個、中性子が235-92=143個集まってできている原子である事を表します。

 このウラン235の原子核に別の中性子を飛ばして当ててみます。すると、その衝撃で原子核が2つに割れてしまいます。例えばイットリウム95とヨウ素139など。このとき分裂後の質量数の和は分裂前と等しくなります(ここでは95+139=235)。しかし、実は質量はわずかに減少しています。これは「原子核が2つに分裂したことにより、その2つをつなぎとめていたエネルギーが失われるため」です。この失われた質量は、アインシュタインが導出した「質量とエネルギーの等価性」を示す式に基づいて熱として放出される。

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原子力発電ではこの熱を利用して水を加熱します。加熱された水は蒸発して水蒸気となり、タービンを回します。このタービンの回転が最終的に発電機へと入力されて電力を生じます。

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